年収が上がったのに、手取りが増えないのはなぜ?|控除の壁と共働き家庭モデルで考察

✍️ 学びログ

手取りと年収のリアルを一緒に学ぶ【第6回】


🌱 はじめに|「昇給=生活が楽になる」と思っていたけれど…

昇給したのに、あれ?
「なんだか手取りが思ったより増えていない…?」そんな経験、ありませんか?

私も完全月給制で働く中で、「年収は上がっているのに、日々の生活に余裕が出ない」という違和感を何度も味わってきました。

今回は、「なぜ年収が上がっても手取りが増えないのか?」を、一緒に勉強していきましょう。


📘 まずは整理しよう|年収・総支給・手取りの違い

用語意味
年収賞与含む1年間の総支給額(額面)
総支給毎月の給与額(諸手当含む)
手取り社会保険・税金などを差し引いた実際に使える金額

👉 重要なのは“年収=手取り”ではないこと!


🔍 なぜ手取りが増えない?3つの主な理由

🧾 ① 社会保険料が増える

年収アップと同時に、厚生年金や健康保険などの保険料も増額されます。
特に厚生年金は約18.3%(会社と折半)という高負担。

月給が数万円上がるだけで、社会保険料が「等級ごと」にジャンプしてしまうことも。


📊 ② 所得税は“累進課税”

所得が増えると税率も段階的に上がります。
例:

  • 所得195万円以下 → 税率5%
  • 所得695万円超え → 税率23%

🧠 年収が増えても、税率の壁に当たることで、手取りの伸びは鈍化します。


🧨 ③ 住民税は“翌年爆弾”

住民税は前年の所得をもとに課税されます。
そのため、昇給した年はまだ住民税が安いものの、翌年から一気に上昇します。

いわば「1年遅れの増税」。このギャップも手取り感覚を狂わせます。


💡 さらに深掘り|控除の頭打ちも影響大!

所得税には様々な控除がありますが、年収が増えると使えなくなる or 減額される控除も。

控除名影響
基礎控除所得2,400万円超で減額開始
配偶者控除年収900万円超で対象外
扶養控除同様に制限あり

🧠 年収が上がるほど「差し引いてもらえる額が減る」ため、税金がより重く感じやすいのです。


🧮 モデルケース①|年収600万円(独身)

項目金額(概算)
年収600万円
社会保険料約90万円
所得税約21万円
住民税約30万円
手取り約459万円

※東京都在住/賞与含む年収モデル/社会保険料は「標準報酬月額」に基づき算出


👨‍👩‍👧‍👦 モデルケース②|共働き世帯(夫600万・妻400万/子2人)

家族年収手取り(概算)
夫(フルタイム)600万約459万
妻(フルタイム)400万約320万
世帯合計1,000万約779万

※保育料や教育費、扶養控除の影響は考慮外


📊 グラフで視覚化|600万円世帯の控除割合

年収600万円の控除割合グラフ

→ 実際には、手取りは年収の76%前後。昇給分が「実感できるほど手元に残らない」ことがわかります。


🧠 手取り重視で考えよう|生活防衛の視点

「昇給しても暮らしが楽にならない」のは、
✔ 社会保険や税金が先に取られてしまうから
✔ 可処分所得にインパクトが出づらいから

つまり、年収ではなく“手取りベース”で家計を見るのが大切です。


✅ まとめ|年収UPの落とし穴に注意!

  • 社会保険料・税金の増加で、昇給実感が希薄に
  • 「住民税の翌年課税」がダメ押しになるケースも
  • 年収ではなく、「使えるお金=手取り」を意識して家計を見直す

💬 読者の皆さんへ

「最近、昇給や転職で年収が上がったけど…」
そんなとき、**実際の“手取り”はどう変わったか?**をぜひ確認してみてください。

「働き方」や「副業」「節税」の視点が、次のステップになるかもしれません。


⏭ 次回予告:住民税の仕組みをわかりやすく解説!

第7回は「住民税ってどう決まるの?」を図解つきで深掘り!
“翌年課税”のトラップをしっかり理解して、備えておきましょう。

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