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ネットワークの技術書は数多くあります。
しかし、用語やコマンドの説明だけでなく、実際の現場でどのように設計し、構築し、試験し、トラブルを調査するのかまで書かれた本は、それほど多くありません。
私が「生きている技術教本」だと感じているのが、みやたひろしさんのネットワーク関連書籍です。
私は20歳からインフラエンジニアとして働き、ネットワークを中心にサーバーを含むインフラ全般に携わってきました。現在までの経験は26年になります。
みやたひろしさんの本には、技術の仕組みだけでなく、基本設計から構築、動作試験、障害調査まで、現場で積み重ねられた考え方が詰まっています。新卒・若手の教育内容を考えるときや、自分の知識を体系的に整理し直すときにも役立ってきました。
この記事では、私が読んできた7冊について、実務経験を踏まえて特徴とおすすめする人を紹介します。
紹介する本は、電子版があるものについてはKindleでの購入がおすすめです。この記事では、各書籍の紹介後にKindle版を確認できる商品リンクを設置します。
AmazonではKindle版、楽天市場とYahoo!ショッピングでは紙の本を確認できます。電子版をすぐ読みたい方はAmazon、紙で読みたい方や普段使っているポイントを利用したい方は、楽天市場・Yahoo!ショッピングを選んでください。
先に結論|目的別に選ぶならこの本
| 読む目的 | おすすめの本 |
|---|---|
| ネットワーク全体の基本を学びたい | 『図解入門TCP/IP』 |
| 手元のPCで構築を体験したい | 『体験しながら学ぶ ネットワーク技術入門』 |
| 設計から導入までの流れを学びたい | 『ネットワーク技術&設計入門 第2版』 |
| Wiresharkで通信を読み解きたい | 『パケットキャプチャの教科書』 |
| 王道のネットワーク構成を学びたい | 『ネットワーク・デザインパターン』 |
| 試験仕様書や試験項目を作成・レビューしたい | 『ネットワーク「動作試験」入門』 |
| 負荷分散の基本と実装を理解したい | 『サーバ負荷分散入門』 |
初学者が最初の一冊を選ぶなら、『図解入門TCP/IP』が入りやすいと思います。ネットワーク全体を学んだあと、『体験しながら学ぶ ネットワーク技術入門』で実際に手を動かすと、知識と動作がつながります。
設計・構築業務へ進みたい人には、『ネットワーク技術&設計入門 第2版』と『ネットワーク・デザインパターン』がおすすめです。
みやたひろしさんの本をおすすめする理由
みやたひろしさんは、システムインテグレーターのSEを経て、ネットワーク機器ベンダーのコンサルタントとして、設計・構築・運用に携わってきた著者です。CCIEも保有しています。
実務経験があるからこそ、著書には次のような特徴があります。
- 技術用語だけでなく、現場での使い方まで説明されている
- 設計・構築・試験という案件全体の流れが見える
- ベテランが経験で身につけた勘所が言語化されている
- 図が多く、通信や構成をイメージしやすい
- 初学者の学習だけでなく、経験者の知識整理にも使える
資格試験に合格するためだけの本ではありません。現場で判断し、説明し、手を動かすための技術を学べる点が、みやたひろしさんの本の魅力です。
1.インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク技術&設計入門 第2版
基本設計から構築・導入までを学べる実践的なガイド
ネットワーク技術そのものを説明する書籍は数多くあります。しかし、実際のネットワーク構築案件を想定し、基本設計から導入までの流れを体系的に解説した本は、意外と多くありません。
本書の特徴は、論理設計や機器設定だけでなく、一般的な技術書ではあまり扱われない物理設計にも踏み込んでいることです。
ケーブルの色分けや採番の考え方など、現場で必要になる細かな設計要素まで整理されています。ネットワークを動かすための技術だけでなく、構築後に運用しやすい設備を作るための考え方まで学べます。
SBクリエイティブの公式ページによると、VLAN設計、アドレス設計、冗長化、仮想化などを、400点を超える図と構成例で解説しています。第2版では高速化や最適化、仮想化を前提にした設計手法も追加されています。
これからネットワーク構築案件に携わる人はもちろん、現在は運用業務を担当していて、今後は設計・構築フェーズへ仕事の幅を広げたい人にもおすすめです。
この本を一言で表すなら:
ネットワークの基本設計から構築・導入までを学べる実践的なガイド
設計・構築の流れを体系的に学びたい方は、AmazonでKindle版をチェックしてみてください。
2.体験しながら学ぶ ネットワーク技術入門
手元のPCでネットワーク構築を疑似体験できる
新卒・若手エンジニア向けの体験型カリキュラムを検討していたときに見つけた一冊です。
手元のPCに検証環境を構築し、ネットワーク技術を実際に体験しながら学べる内容になっています。本書の手順に沿って進めることで、初学者でも比較的簡単に環境を用意し、ネットワークを構築する経験を積めます。
読むだけで終わらず、自分で動かして挙動を確認できるのが大きな特徴です。
扱われるのは基本的な通信だけではありません。現在のWebサービスに欠かせないサーバー負荷分散、HTTPS、SSL/TLSなどについても、実際の通信や動作を確かめながら学べます。
初学者はもちろん、運用現場に配属されているものの、実機の設定やネットワーク構築を経験する機会が少ない人にもおすすめです。
この本を一言で表すなら:
手元のPCでネットワーク構築を疑似体験できる、実践型の入門書
実機を触る機会が少ない方は、本書をAmazon Kindle版で見ながら手元のPCで試してみてください。
3.パケットキャプチャの教科書
目に見えない通信をパケットから読み解く
Wiresharkの使い方を人に教える機会があり、自分自身もパケットキャプチャについて体系的に学び直すために購入した一冊です。
Wiresharkは普段から利用していますが、特に力を発揮するのは通信トラブルが発生したときです。設定やログを確認しても原因が分からない場合に、実際のパケットを取得して通信内容を調べる、いわば障害調査の「最後の切り札」になります。
パケットには、端末やサーバーが実際にやり取りした通信情報が詰まっています。Webアクセスの通信を一つずつ読み解くだけでも、TCP/IPがどのような仕組みで動作しているのかを具体的に理解できます。
ネットワークは普段、ユーザーからは見えない場所で動いています。Wiresharkは、その見えない通信を目で確認できる状態にしてくれる素晴らしいツールです。
TCP/IPの入門書を読むときも、説明だけを追うのではなく、実際の通信パケットを確認しながら進めると理解が深まります。ネットワークの基礎を勉強している人にも、通信障害の調査力を身につけたいエンジニアにもおすすめです。
この本を一言で表すなら:
目に見えないネットワーク通信を、パケットから読み解くための実践的な教科書
Wiresharkを体系的に学びたい方は、すぐ参照できるKindle版が便利です。
4.インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク・デザインパターン
ベテランの経験と勘所を設計パターンとして学べる
ネットワーク構成図を描けるようになって初めて、ネットワークエンジニアになったと言っても過言ではない——私はそれほど、ネットワーク構成を考える力が重要だと思っています。
ネットワークの設計には、規模や要件に応じた王道のパターンがあります。本書は、ベテランのネットワークエンジニアが長年の経験によって身につけてきた設計の勘所を、論理的に整理して説明してくれる一冊です。
小規模なネットワークから大規模なネットワークまで、幅広い構成が扱われています。単に完成した構成図を紹介するだけでなく、規模や要件によって最適な構成がどのように変わるのか、その設計思想に至るまで丁寧に解説されています。
初学者は、最初に身につけておきたい王道の構成パターンを学べます。経験を積んだエンジニアにとっては、自分の中にある設計の勘所を整理し、顧客や関係者に設計意図を説明するための言葉を得られる本です。
ネットワーク初学者からベテランまで、それぞれの立場で活用できます。
この本を一言で表すなら:
ベテランの経験と勘所を、再利用できる設計パターンとして学べる本
設計の引き出しを増やしたい方は、構成を比較しながら読んでみてください。
5.インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク「動作試験」入門
試験の目的・計画・実施・報告を実務の流れで学べる
インフラ関連の動作試験に特化し、体系的にまとめられた書籍は貴重です。私自身、試験内容をユーザーへ分かりやすく説明するために、自分の考えを整理する目的で本書を手に取りました。
動作試験で重要なのは、試験を実施すること自体ではありません。
「何を担保するための試験なのか」「要件に対して試験項目が不足していないか」を明確にし、適切にレビューできることが大切です。
本書では、試験項目だけでなく、試験を実施する順序、試験仕様書の作り方、結果報告書まで、実際の案件を意識した考え方がまとめられています。
特に性能試験は、いざ計画しようとすると、負荷のかけ方や合格基準などで意外と悩む試験項目です。本書では、負荷試験や長期安定性試験についても取り上げられており、実践的な試験計画を考える際の参考になります。
ネットワークの試験フェーズを担当するエンジニアだけでなく、ベンダーから提出された試験仕様書や結果報告書を確認する情報システム部門の担当者にもおすすめです。
この本を一言で表すなら:
ネットワーク試験の目的・計画・実施・報告を、実務の流れに沿って学べる本
試験仕様書を作成・レビューする方には、手元に置いておきたい一冊です。
6.サーバ負荷分散入門
サーバーとネットワークをつなぐ負荷分散の実践書
この本は、過去にBIG-IPの担当になったときに読んだ一冊です。みやたひろしさんの著書の中で、私が初めて読んだ本でもあります。
当時、私は自分のWindows PC上に仮想環境を用意し、BIG-IPの検証版とLinux、Apacheを構築しました。本書に沿って、環境構築から負荷分散設定、動作試験までを実際に体験できました。
ここまで実践的な検証環境を個人のPC上で再現し、一連の作業を丁寧にフォローしてくれる解説書は、当時ほかにほとんどありませんでした。私にとっては、担当業務に必要な技術を自分の手で身につけられた素晴らしい良書です。
私の手元に同じ本が2冊ある理由
実は、私の手元には『サーバ負荷分散入門』が2冊あります。
この本が発売された当時、私は後輩エンジニアと一緒にBIG-IPの構築業務を担当していました。二人で本書を参考にしながら技術を学び、試行錯誤を重ねて、担当した構築案件をやり遂げました。
その後の案件では、その後輩と一緒に仕事をする機会がなくなりました。そこで私は、餞別の代わりに同じ本をもう一冊購入して、彼に渡しました。
しばらくして、彼は転職することになりました。そのとき返された本には、本人なりの注釈や、案件を通じて得た気づきが余白いっぱいに手書きされていました。
そして彼から、「次の後輩に渡してほしい」と託されました。
一冊は私が学ぶために使った本。もう一冊は、後輩が実際の案件で得た経験を書き込み、次のエンジニアへ引き継ぐために戻してくれた本です。
技術書は、書かれている知識を読むだけのものではありません。実際の仕事で試し、気づきを書き加え、人から人へ渡すことで、その現場だけの教科書にもなります。
今では掲載されている製品や操作手順に古さもありますが、この2冊は、私にとってネットワーク技術とエンジニアの経験が受け継がれていったことを残す、大切な本になっています。
当時は、サーバーエンジニアとネットワークエンジニアの業務領域がはっきり分かれ、お互いの技術に対する理解も浅くなりがちでした。本書はネットワークエンジニア寄りの視点を持ちながら、サーバーとネットワークの両方を扱い、二つの技術領域を橋渡ししてくれました。
一方、刊行から長い年月が経過し、掲載されている製品や操作手順には古くなっている部分があります。最新のBIG-IP操作手順書としてではなく、負荷分散の基本的な考え方、構築、試験のアプローチを学ぶ本として読む必要があります。
電子版や新品の入手状況も、購入前に販売ページで確認してください。
この本を一言で表すなら:
サーバーとネットワークをつなぎ、負荷分散を構築から試験まで体験できる実践書
本書は現在絶版となっており、Kindle版も確認できません。中古本として流通している場合がありますが、在庫や価格は安定していないため、本記事では購入リンクを掲載していません。
取り扱われているBIG-IPのバージョンや製品情報は古くなっていますが、負荷分散の基本的な考え方や、検証環境の構築、動作試験の進め方を学ぶ資料として、今でも記憶に残っている一冊です。
7.図解入門TCP/IP 仕組み・動作が見てわかる
ネットワークの基本を学び、辞書としても使える
新卒・若手エンジニアへネットワーク技術を分かりやすく教えるために、自分自身の理解を整理し直す目的で購入した一冊です。
本書は図解が多く、文章だけでは分かりにくい通信の流れや各技術の関係を、イメージとしてつかみやすくなっています。
タイトルには「TCP/IP」とありますが、単にTCPやIPの仕組みだけを説明する、いわゆるTCP/IPの解説書ではありません。NICなどの物理層に関わる技術から、HTTPSなどのアプリケーション層まで、OSI参照モデルの7階層をフルスタックで解説しています。
ネットワークを部分的な用語の集まりとして覚えるのではなく、「データが端末から送り出され、ネットワークを通り、アプリケーションへ届くまで」を、階層ごとに関連づけて理解できるのが本書のよいところです。
主要なネットワーク技術が網羅的にまとめられているため、初学者でも一通り読むことでネットワークの基本を身につけられます。最初からすべてを覚える必要はありません。読了後も、分からない技術や用語が出てきたときに、辞書のように参照できます。
これからTCP/IPを学ぶ初学者はもちろん、若手へ技術を教える立場になったエンジニアや、経験によって身につけた知識を体系的に整理し直したい人にも向いています。
この本を一言で表すなら:
ネットワークの基本を一通り学べて、実務でも辞書として使い続けられる図解入門書
最初の一冊で迷った方は、まず本書からネットワーク全体を学ぶのがおすすめです。
<!– 【つよぽんさん作業:Pochipp⑦】 『図解入門TCP/IP』の商品カードをここに挿入する。 ・Amazonは記事で紹介した版のKindle版ASINを登録 ・楽天市場・Yahoo!ショッピングは同じ版の紙版を設定 ・ボタン順は「Amazon→楽天市場→Yahoo!ショッピング」 ・別の版へリンクしていないことを公開前に確認 –>
初学者におすすめする読む順番
7冊をすべて最初から読む必要はありません。初学者から設計・構築担当へ進むことを想定するなら、私は次の順番をおすすめします。
- 『図解入門TCP/IP』でネットワーク全体を把握する
- 『体験しながら学ぶ ネットワーク技術入門』で実際に動かす
- 『ネットワーク技術&設計入門 第2版』で設計と構築の流れを学ぶ
- 『パケットキャプチャの教科書』で通信を読み解く
- 『ネットワーク・デザインパターン』で構成の引き出しを増やす
- 『ネットワーク「動作試験」入門』で品質を確認する方法を学ぶ
『サーバ負荷分散入門』は、ロードバランサーやWebシステムの冗長化を担当するときに読む専門編という位置づけです。
すでに運用業務を経験している人は、3冊目の『ネットワーク技術&設計入門 第2版』から読み始めてもよいでしょう。
迷ったら、まずこの2冊
7冊の中から最初の一冊を選ぶなら、現在の経験と目的に合わせて次の2冊から選ぶのがおすすめです。
初学者なら『図解入門TCP/IP』
ネットワーク全体の仕組みを物理層からアプリケーション層まで学べます。主要技術が網羅されているため、通読したあとは辞書としても使えます。
運用から設計・構築へ進みたいなら『ネットワーク技術&設計入門 第2版』
個別技術だけでなく、基本設計から構築・導入までの流れを体系的に学べます。設計・構築案件へ仕事の幅を広げたい人に向いています。
技術書はKindleでの購入がおすすめ
私は、良質な技術書には著者への敬意と、その知識を受け取る対価としてお金を払うべきだと考えています。
みやたひろしさんの本は、現場で必要になる考え方を体系的に学べる、購入して手元に置く価値のある技術書です。必要な用語を検索し、PCやタブレットから繰り返し参照できるため、電子版がある本はKindleで購入しています。
一方、未知の分野を広く調べるときにはKindle Unlimitedも活用しています。対象書籍を幅広く読み、深く学びたい分野や、手元に残したい良書が見つかったら購入するという使い分けです。
O’Reillyや英語原書、個人出版の技術書を含め、インフラエンジニアがKindleとKindle Unlimitedをどう使い分けているかは、次の記事で詳しく紹介しています。
情報収集の範囲を広げたい方は、Kindle Unlimitedの対象になっている技術書を確認してみてください。
まとめ|現場で使えるネットワーク技術を学びたい人へ
みやたひろしさんの本は、知識を覚えるだけの教科書ではありません。
設計する、構築する、通信を確認する、試験する、障害を調査する——ネットワークエンジニアが現場で行う仕事を、実践に基づいて体系的に学べます。
初学者には、ネットワーク全体の地図を与えてくれます。設計・構築へ進みたい人には、現場で必要になる考え方を教えてくれます。経験者にとっては、自分の中に蓄積された勘所を整理し、若手や顧客へ説明するための言葉を得られます。
私自身、新しい技術を学ぶときだけでなく、教育内容を考えるときや、自分の理解を整理し直すときにも活用してきました。
ネットワーク技術を表面的な用語ではなく、実際に動く仕組みとして理解したい人に、おすすめしたいシリーズです。


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