手取りと年収のリアルを一緒に学ぶ【第10回】
✅ 導入|給与明細にある“謎の控除”、気になったことありませんか?
「今月の手取り、思ったより少ないな…」
給与明細を見て、そう感じたことはありませんか?
実は、毎月の給料から引かれている「控除」には、いろんな種類があります。
その中でも今回は、**“雇用保険”と“介護保険”**という、少し分かりにくい保険料について一緒に見ていきましょう。
- なんで引かれてるの?
- いくらぐらい払ってるの?
- どんな時に使えるの?
こういった疑問を、**「自分や家族にどう関係するか」**の視点で、やさしく解説していきます。
🧱 雇用保険ってなに?|仕事を失ったときの“生活の命綱”
雇用保険は、失業や転職、育児・介護などのライフイベントに備えるための制度です。
日本の労働者のほとんどが対象になっていて、会社員であれば自動的に加入しています。
💡 雇用保険の主な役割
| 給付制度 | 概要 |
|---|---|
| 失業手当(基本手当) | 退職後の一定期間、生活費を補う給付 |
| 教育訓練給付金 | スキルアップや資格取得の支援金 |
| 育児休業給付金 | 育児中の収入減少をサポート |
| 介護休業給付金 | 家族の介護による休職中の支援 |
✅ どんな人が対象?
- 原則、週20時間以上働く労働者
- 雇用期間が31日以上見込まれている場合
💰 雇用保険料はいくら?
- 2025年時点の労働者負担分は 0.6%(一般の事業)
- 例えば月給40万円の場合:
400,000円 × 0.006 = 2,400円/月
月々の負担は軽いですが、万が一のときの“保険”として心強い制度です。
🧱 介護保険ってなに?|40歳から始まる“将来の備え”
介護保険は、高齢化が進む中で生まれた制度で、40歳以上の人が対象です。
「まだ関係ない」と思っている方も多いかもしれませんが、
40歳になった瞬間から自動的に天引きされるので、仕組みを理解しておきましょう。
🧓 介護保険が使える場面
| サービス | 内容 |
|---|---|
| 訪問介護 | ヘルパーが自宅に来てくれる支援 |
| 通所介護 | デイサービスなどの施設利用 |
| 施設入所 | 介護施設への入所支援 |
✅ 対象となる人
- 要介護・要支援の認定を受けた人(原則65歳以上)
- ただし、40〜64歳でも特定疾病(認知症、脳卒中など)により要介護状態になった場合は利用可
💰 介護保険料の負担額
- 健康保険料に含まれる形で徴収される
- 組合健保の場合、介護保険料は健康保険料の約18〜20%程度
例)月給40万円の人
- 健康保険料:40,000円前後
- 介護保険分:約7,200〜8,000円が含まれているイメージ
📊 控除額まとめ|給与明細に出てくる数字の裏側
| 控除項目 | 月給40万円の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 雇用保険 | 約2,400円 | 単独で項目表示される |
| 介護保険 | 約7,200円 | 健康保険料に含まれている |
💡 チェックポイント!
給与明細に「介護保険」という項目がなくても、実は健康保険の中に含まれているケースが多いです。
🔍 給与から引かれる意味を考えてみよう
「なんでこんなに引かれるの?」
そう思ったときこそ、“制度の中身”を知るチャンス。
雇用保険も介護保険も、**「自分が困ったときに支えてくれる社会の仕組み」**です。
- 仕事を辞めたとき
- 家族の介護が必要になったとき
- 自分自身が要介護になったとき
何も起きなければありがたいことですが、
その“万が一”を支えるために、少しずつ積み立てているのがこの保険料なのです。
🧠 将来を見据えた“学び”の姿勢が大事
給与明細は、単なる数字の羅列ではなく、
**「自分の人生に関わる情報が詰まったドキュメント」**です。
毎月なんとなく眺めていた人も、
この記事をきっかけに「この保険、どういう意味なんだろう?」と
少し立ち止まって考えてみるだけで、未来への備え方が変わってきます。
📝 まとめ|控除の“内訳”にこそ価値がある
- 雇用保険:失業や育児・介護に備える制度
- 介護保険:将来の介護に備え、40歳から徴収開始
- 給与明細は「何に、いくら払っているのか」が見える大事な資料
これらの保険料を知ることで、
「ただ引かれてるお金」から「いざというときの自分の味方」へと意識が変わります。
⚠️ 免責事項
本記事は2025年7月時点の制度に基づき、一般的な内容をわかりやすく整理したものです。
保険料率や制度の詳細は、法改正や健康保険組合・雇用主によって異なる場合があります。
具体的な金額や適用条件は、勤務先の人事部門・厚生労働省の公式サイトなどで必ずご確認ください。


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