ボーナスの手取りが少ないのはなぜ?─ 課税の仕組みと“もらえる額”のギャップを一緒に学ぼう

✍️ 学びログ

🧮【手取りと年収のリアルを一緒に学ぶ】第3回

私は**完全月給制(年俸制)**で、ボーナスはありません。
ですが、まわりの同僚や知人からよく聞くのが…

「ボーナスが出たのに、手取りは思ったより少ない」
「50万円って書いてあったのに、振り込みは30万円台だった…」

こうした声に対して、最初は
「なんでそんなに引かれるの?」と、正直ピンと来ていませんでした。

けれど調べてみると、そこには明確な理由と仕組みがありました。

今回は、自分自身が「もしボーナスをもらっていたら?」という視点で、
一緒に「ボーナスの手取りの仕組み」を学んでいきましょう!


💡 ボーナス=額面どおりもらえると思っていませんか?

まずは前提の確認から。
「賞与(しょうよ)」や「ボーナス」として、例えば50万円支給と通知されたとします。

この50万円が、そっくりそのまま口座に振り込まれる…?

答えは NO です。

なぜなら、ボーナスにも税金や保険料などの控除がしっかりかかるからです。


📉 ボーナス支給と手取りの差をざっくり見ると…

項目金額(例)
支給額(額面)500,000円
控除合計▲135,000円前後
手取り額約365,000円

「えっ、13万円以上引かれるの…?」
そう思った方も多いかもしれません。

では、どんな項目が差し引かれているのか、一つずつ見ていきましょう。


🔍 ボーナスにもかかる“3つの主要な控除”

✅ ① 社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険)

ボーナスにも、月給と同じように社会保険料がかかります。

社会保険の種類内容
健康保険医療費の補助、傷病手当金など。保険料率は都道府県・健保組合によって異なる(約9%前後)
厚生年金老後の年金・遺族年金など。保険料率は18.3%(労使折半)
雇用保険失業給付、教育訓練給付など。料率は業種や年度により変動(2025年現在は約0.6%〜1.35%)

これらは**「標準賞与額」**を基準に計算されます。
例えば50万円支給の場合、個人負担で7〜9万円程度引かれるのが一般的です。


✅ ② 所得税(賞与用の源泉徴収)

ボーナスには賞与用の源泉徴収税額表が使われます。

月給の場合は「年末調整」などで年間所得に応じた税率が適用されますが、
ボーナスは単独で税率が決まるのが特徴です。

例えば:

  • 前月の月給が40万円
  • 扶養なし

この場合、賞与にかかる所得税率は**約6.126%**ほどになります。
→ 50万円なら、約30,000円超が引かれる計算です。


✅ ③ 会社独自の控除(財形・持株会・組合費など)

企業によっては以下のような“任意の社内制度”もボーナスから天引きされます。

  • 財形貯蓄
  • 従業員持株会
  • 共済会費
  • 社員寮の費用 など

これらがあると、手取りはさらに数千円〜数万円下がることもあります。


🧮【試算】実際にシミュレーションしてみよう

▶ モデルケース:ボーナス50万円支給(扶養なし)

控除項目概算金額(目安)
健康保険料(9%)約45,000円
厚生年金(18.3%)約91,500円
雇用保険料(0.6%)約3,000円
所得税約30,000円
共済費・その他約5,000円
控除合計約174,500円
手取り額約325,500円

❓ なぜ「少なく感じる」のか?

手取りが額面の約65%前後になるのは実は自然なことですが…

心理的に“損した気分”になる理由:

  • 普段と違う金額=特別感がある
  • 金額が大きいので、引かれる額も大きく見える
  • 年1〜2回のイベントなので、インパクトが強い

🏢 会社によって“同じ額面”でも手取りは変わる?

はい、変わります。
なぜなら、

  • 健康保険料率(協会けんぽか、独自健保か)
  • 企業独自の控除制度(財形・持株など)
  • 組合費や寮費の有無

などの違いで、天引きの額が異なるからです。


🧠 完全月給制の自分が“知ってよかった”と思ったこと

僕はボーナスがない「完全月給制(年俸制)」です。
それでも今回の仕組みを知ったことで、以下のことがわかるようになりました:

  • ✅「臨時収入(副業や報奨金)」が入ったとき、手取りを予想しやすくなった
  • ✅ ボーナス前提で生活を組むことのリスクも見えるようになった
  • ✅ 同じ額面でも、「手取り」は状況次第だというリアルな感覚が持てた

🔚 まとめ|ボーナスは“期待しすぎない”設計が安心

  • ボーナスには社会保険料+所得税+会社控除がかかる
  • 手取りは、支給額の6〜7割が目安
  • 企業によって手取り額はバラつく
  • 完全月給制の人も、知っておくと家計設計の視野が広がる

✍️ 免責事項

本記事は2025年7月時点の制度・税制・保険料率に基づき、筆者が独自に学んだ内容をもとに構成しています。
控除額や保険料率は、地域・会社・年齢・扶養状況などによって異なりますので、詳細な金額は給与明細や会社の人事部への確認をおすすめします。


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