インフラエンジニアの仕事では、パソコン上で使うアプリだけでなく、ネットワーク機器やサーバーを直接扱うための道具も使います。
私はネットワークを中心に、20歳から46歳まで26年間インフラ業務に携わってきました。その中では、ネットワーク機器のキッティングや拠点構築、サーバールーム、データセンターでの作業も経験しています。
この記事では、私が現場で実際に使ってきた道具を、構築・キッティング用と、サーバールーム・データセンター作業用に分けて紹介します。
すべてを個人で購入する必要はありません。業務で必要なものは会社やプロジェクト側で用意するのが基本です。そのうえで、自分で持っていると助かるものや、現場へ行く前に確認したいポイントをまとめます。
現場で使う道具の一覧
必要な道具は担当する作業によって変わります。まずは全体像を整理します。
| 使用場面 | 主な道具 | 必要度の目安 |
|---|---|---|
| 構築・キッティング | 作業用PC、USBシリアルケーブル、LANケーブル | 作業内容によって必須 |
| 接続・検証 | 小型スイッチングハブ、USBハブ、USB NIC、RJ45 JJコネクタ | 持っていると便利 |
| 作業効率化 | モバイルモニター、スマートフォン、モバイルルーター | 現場に応じて用意 |
| ラック作業 | ドライバー、カッター、ハサミ、結束用品 | 作業がある場合に用意 |
| 識別・確認 | ケーブルタグ、ラベルライター、ライト | 現場に応じて用意 |
| 安全対策 | 作業用手袋 | 搬入・開梱・搭載時に用意 |
道具をたくさん持つことよりも、作業内容、対象機器、現場のルールを確認して、必要なものを事前に選ぶことが重要です。
構築・キッティングで使う道具
作業用ノートPC
ネットワーク機器やサーバーの初期設定、設定ファイルの作成、疎通確認などに使います。
高性能である必要はありませんが、Windowsが利用でき、有線LANと複数のUSBポートを備え、必要なツールを導入できる機種が便利です。有線LANポートがない薄型PCでは、USB接続の有線LANアダプターを併用します。
検証用であれば中古のWindowsノートPCも選択肢になります。ただし、私物PCを業務ネットワークへ勝手に接続してはいけません。会社や現場のセキュリティルールを確認し、許可された機器だけを使用します。
昔から、個人的にLenovoのThinkPadを愛用しています。試験端末としてThinkPadを購入するならBe-Stockさんが取り扱い多くおすすめです。Window11Pro、NIC搭載、メモリ16Gの条件で価格と相談して探してみてください。。
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USBシリアルケーブル
ネットワーク機器のコンソールポートへ接続し、初期設定や障害対応を行うために使います。作業内容によっては必須の道具です。
購入するときは、機器側のコンソール端子、PC側のUSB端子、Windows用ドライバー、RJ45コンソールケーブルとの組み合わせを確認します。当日初めて接続するのではなく、作業用PCで認識するところまで事前に試しておきます。
1本でも作業できますが、私は2本用意するのがよいと考えています。冗長構成の2台や対向機器を同時に操作するとき、コンソールを差し替えずに作業できるからです。
私は、BuffaloのUSB-Serialケーブルを愛用しています。数えたら旧型番のものも含めて4本ありました。
↑のようなD-Sub9ピンのケーブルを利用する場合は、↓のコンソールケーブルが必要です。
コンソールケーブルについては、現場で在庫から支給されたりすることがあります。自分も在庫が何本もあります。基本的には自分で用意するのが暗黙の了解となっています。
最近はUSB~RJ45になっている安価なケーブルもあります。今いる現場の若手は以下のようなものを使っているのをよく見ます。
RJ45コネクタの爪が折れてしまったりするので、長期的な使用を考えるのであればUSB-Serialケーブルと、コンソールケーブルを個別に用意するのが推奨です。
USB Mini-B・Micro-Bケーブル
ネットワーク機器によっては、USB Type-AからUSB Mini-BまたはMicro-Bで接続し、USBコンソールポートを操作する場合があります。
最近は使う機会が減りましたが、少し前の機器では採用されています。昔使っていたケーブルが残っているなら、Mini-BとMicro-Bを1本ずつ保管しておくと役立ちます。
端子の形状を確認し、充電専用ではなくデータ通信に対応したケーブルを用意します。機器側のUSBコンソールを利用するためのドライバーが必要な場合もあるため、事前確認が必要です。
小型のスイッチングハブ
複数の機器へ同時に接続して、初期設定や疎通確認を行う場合に使います。持ち運び用には、軽量でコンパクトな5ポート程度のアンマネージドスイッチが扱いやすいです。
サンワサプライの「LAN-GIGAC503BK」は、1000BASE-T対応の5ポートスイッチングハブです。給電端子にUSB Type-Cを採用し、付属のType-C-Type-Aケーブルを使ってPCなどから給電できます。専用ACアダプターを追加で持ち歩かなくてよい点は、現場用として便利です。
選ぶときは、ポート数、通信速度、大きさ、重さ、給電方法、ループ検知機能の有無を確認します。USB給電式でも給電用ケーブルは必要で、PC側のUSBポートも1つ使います。
参考:サンワサプライ「LAN-GIGAC503BK」製品発表
USBハブ
USBシリアルケーブル、USB NIC、マウスなどを同時に使うと、ノートPCのUSBポートが足りなくなります。
USBシリアルケーブルを2本接続し、さらにスイッチングハブへUSB給電する場合は、必要なポート数を事前に数えておきます。ポート数だけでなく、給電能力と接続の安定性も確認します。
LANケーブル
必要なLANケーブルは会社や現場で用意するのが基本です。それとは別に、疎通確認や機器への一時接続用として、自前のケーブルを持っておくと役立ちます。
私はフラット型のLANストレートケーブルを、3mと5mで1本ずつ常備しています。
3mは机上での設定や近距離の接続に使いやすく、5mはラックや作業場所から少し離れた機器へ接続するときに便利です。フラット型は薄くてかさばりにくく、作業用バッグへ収納しやすいのも利点です。
現場に常設されているケーブルは一般的な丸型が多いため、フラット型なら自前のものを判別しやすくなります。回収漏れや、現場のケーブルを自分のものと間違えるミスの防止にもつながります。
フラット型は構築・検証時の一時接続用として使い、恒久配線には現場の設計や配線ルールに合ったケーブルを使用します。
RJ45 JJコネクタ
RJ45 JJコネクタは両端がメスになっており、LANケーブル同士を中継・延長するために使います。私は予備を含めて2個常備しています。
3mと5mのLANケーブルを接続すれば、必要に応じて約8mまで延長できます。また、RJ45タイプのコンソールケーブルにJJコネクタとLANストレートケーブルを接続し、コンソール接続を延長するときにも使えます。
2個あれば、冗長構成の2台や対向機器を同時にコンソール接続するときにも対応できます。
LAN通信の延長にも使う場合は、ケーブルのカテゴリーや通信速度に対応し、結線をそのまま中継する製品か確認します。接続箇所が増えると障害原因になるため、恒久配線ではなく一時的な用途を基本とします。
愛三電機さんはCAT6対応のJJコネクタも販売してますね。
USB NIC(有線LANアダプター)
ノートPC内蔵のNICとは別に、検証用ネットワークや設定対象機器へ有線接続したいときに使います。
複数のNICを使えば用途ごとに接続先を分けられますが、業務LANと検証ネットワークを同時に接続できるかは、会社や現場のルールを必ず確認します。
意図しないネットワーク間接続を起こさないよう、IPアドレス、デフォルトゲートウェイ、ルーティングを確認し、Windowsのブリッジ接続やインターネット接続共有は使用しません。
モバイルモニター
複数のターミナルを開く場合や、オンライン会議に参加しながら作業する場合に便利です。
片方に手順書や会議画面を表示し、もう片方でTera Termや設定ファイルを開けます。必須ではありませんが、長時間の構築作業では効率と確認のしやすさが変わります。
スマートフォン・モバイルルーター
現場でインターネット接続が必要になった場合は、スマートフォンのテザリングやモバイルルーターを使用します。
貸与スマートフォンの回線が圏外になる可能性もあるため、別キャリアのSIMを用意しておくと通信手段を冗長化できます。ただし、業務データの通信や社内システムへの接続には会社のルールが適用されます。許可されていない回線や私物端末を自己判断で使用してはいけません。
サーバールーム・データセンター作業で使う工具
機器設置やラック内配線は、専門の工事業者が担当することも多くあります。一方、案件の体制によっては、インフラエンジニア自身が開梱、ラックマウント、ケーブル結線、タグ付け、簡単な整線まで担当します。
工具の扱い方、ラックの構造、ケーブルの種類、配線方法など、物理作業の基本を理解しておくことも大切です。
ドライバー
機器のラックマウント、金具の取り付け、固定に使います。対象機器やラックによって必要なサイズが異なるため、レールや金具の仕様を事前に確認します。合わないドライバーを無理に使うと、ネジ山をつぶす原因になります。
カッター・ハサミ
梱包材の開封、テープや結束材の切断に使います。機器やケーブルを傷つけないよう、刃の向きと置き場所に注意します。データセンターによっては、刃物の持ち込みや使用方法にルールがあります。
インシュロック(結束バンド)
ケーブルをまとめ、ラック内を整線するために使います。固定力は高い一方、変更時には切断が必要です。締めすぎによるケーブルへの負担と、切断後の鋭い切り口に注意します。
面ファスナー
配線変更が多い場所やLANケーブルの整線では、繰り返し使える面ファスナーが便利です。取り外して再利用でき、締め付けも調整しやすいため、用途に応じてインシュロックと使い分けます。
ケーブルタグ・小判札
LANケーブルや電源ケーブルの接続先を識別するために使います。一時的な構築では、紐で取り付けられ、作業後に外せる小判型のタグが便利です。
私は、愛三電機で販売されている「篠原電機 FN-D-20 ファイバー線名札」を使っています。20×30mmの小判型タグが100枚入っており、紐にはロウ引きされた綿糸が使われています。
2026年9月時点の価格は、100枚入りで税別1,300円、税込1,430円です。1枚あたり約14円で、現場でも気兼ねなく使えるコストパフォーマンスのよさが魅力です。
タグには機器名、接続元と接続先、ポート番号、用途、作業日、仮設であることなどを記載します。記載内容は、現場の設計書や命名ルールに従います。
ラベルライター(テプラ)
機器名、ポート、電源系統、ケーブルタグなどの表示に使います。現場によって文字サイズ、色、貼り付け位置が決められているため、設計書や現場ルールを確認します。本体だけでなく、必要なテープの種類と残量も確認します。
ライト
ラックの背面や機器の隙間は暗く、ポート番号や接続状態を確認しにくいことがあります。両手を使う作業ではヘッドライトも便利ですが、周囲の作業者の目へ光を向けないようにします。
作業用手袋
機器の開梱、運搬、ラックマウントで手を傷つけるのを防ぎます。細かいネジやコネクターを扱えるよう、厚すぎず、滑り止めの付いたものが使いやすいです。
ケーブルや配線部材は愛三電機で購入している
私がケーブルタグやRJ45 JJコネクタを購入しているのが、秋葉原に店舗を構える愛三電機です。
愛三電機は1947年創業の専門店で、光通信部材、ネットワーク機器、電線、配線パーツなどを扱っています。LANケーブルやRJ45プラグ、コンソールケーブルなども購入できます。
一般的な商品はAmazonや家電量販店でも購入できますが、ケーブルや端子、配線部材を規格から探したいときは、専門店が便利です。秋葉原の店舗だけでなく、オンラインショップも利用できます。
愛三電機へのリンクはアフィリエイトではありません。実際に部材を購入している専門店として紹介しています。
現場へ行く前の持ち物チェックリスト
- 対象機器と台数
- コンソール端子の種類
- 作業用PCのUSB端子と空きポート数
- 必要なドライバーがインストール済みか
- 有線LANポートの有無
- LANケーブルの必要本数と長さ
- AC電源とUSB給電の有無
- ラックマウント作業の有無
- 必要な工具とネジの種類
- ラベルとケーブルタグのルール
- インターネット接続手段
- データセンターへの持ち込み制限
- 作業後に工具、ケーブル、部材を回収したか
特にコンソールケーブルは、持っているだけでは不十分です。対象機器へ接続できるか、PCで認識するか、必要なドライバーが入っているかまで事前に確認します。
資格や専門技術が必要な作業には手を出さない
物理作業を理解しておくことは大切ですが、現場にある作業を何でも自分で行ってよいわけではありません。
電気配線など、作業内容や設備によって電気工事士などの資格が必要になる業務は、資格を持つ専門業者へ依頼します。私は電気工事士の資格を持っていないため、資格が必要な電気工事は行いません。
高所作業についても、作業場所、足場、使用する器具などによって安全対策や特別教育が必要になる場合があります。高所作業と電気工事は別のルールで管理されるため、作業前に要件を確認します。
私が対応するのは、現場で許可された範囲のラックマウント、LANケーブルやコンソールケーブルの接続、タグ付け、簡易的な整線などです。
※資格や教育が必要かどうかは、作業内容、設備、契約範囲によって異なります。必ず勤務先や現場責任者へ確認してください。
専門外でも作業内容を理解しておく
データセンターやサーバールームの作業には、それぞれの専門分野があります。資格が必要な電気工事、専門的な配線工事、重量物の搬入や設置などは、作業内容に応じた専門業者が対応します。
インフラエンジニアがすべてを自分で行う必要はありません。しかし、専門業者へ任せる作業であっても、次の内容は把握しておくべきです。
- どのような作業を行うのか
- どこまでが自分の担当範囲なのか
- 事前に何を準備するのか
- 作業後に何を確認するのか
- どこから資格や専門技術が必要なのか
作業内容を理解していれば、専門業者との打ち合わせ、作業指示、完了確認を円滑に進められます。障害発生時にも、物理構成を理解していることで原因を切り分けやすくなります。
そのうえで、資格や安全上の問題がなく、現場で許可されている作業には、積極的に挑戦する姿勢が大切です。
ラックマウント、ケーブル接続、タグ付け、整線などを実際に経験すると、設計書や構成図だけでは分からない現場の制約が見えてきます。その経験は、次の設計や作業手順の改善にも生かせます。
「何でも自分でやる」のではなく、「分からないまま人に任せない」。専門家の領域を尊重しながら、自分で対応できる範囲を少しずつ広げていく姿勢が、インフラエンジニアとしての強みになります。
まとめ
インフラエンジニアの現場では、ノートPCやコンソールケーブルだけでなく、小型スイッチングハブ、USB NIC、LANケーブル、JJコネクタ、タグ、工具など、さまざまな道具を使います。
大切なのは、道具をたくさん持つことではありません。
- 作業内容から必要な道具を判断する
- 対象機器との接続方法を事前に確認する
- 自分の担当範囲と専門業者へ任せる範囲を理解する
- 安全と現場ルールを優先する
- 対応できる作業を少しずつ増やす
現場で物理作業を経験すると、論理構成だけでなく、機器がどのように設置され、どのケーブルでつながっているのかまで具体的に理解できるようになります。
物理構成を理解し、必要に応じて簡易的な作業にも対応できることは、オンプレミス環境に関わるインフラエンジニアの強みです。


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