NISAの成長投資枠を活用する方法のひとつに、高配当株への投資があります。
高配当株は、保有している間に配当金を受け取れることが魅力です。一方で、配当利回りが高いという理由だけで購入すると、減配や株価下落によって想定以上の損失が出る場合もあります。
私自身は、NISAのつみたて投資枠で毎月10万円をインデックス投資信託に積み立て、成長投資枠では株主優待や配当などを確認しながら、必要に応じて個別株を購入しています。
この記事では、NISAの成長投資枠で高配当株を活用するメリットや注意点、銘柄を選ぶときの確認項目について、投資初心者にも分かりやすく解説します。
※本記事は2026年8月時点の制度・企業情報をもとに作成しています。
高配当株とは?
高配当株とは、株価に対する年間配当金の割合である「配当利回り」が、比較的高い銘柄のことです。
配当利回りは、次の計算式で求められます。
配当利回り(%)=1株当たりの年間配当金 ÷ 株価 × 100
たとえば、株価が1,000円、年間配当金が50円の場合、配当利回りは5%です。
ただし、配当利回りが高ければ安全というわけではありません。
株価が大きく下落した結果、見かけ上の配当利回りが高くなっている場合や、業績悪化によって今後の配当が減額される場合もあります。
預金金利とは異なり、株式には元本保証がありません。配当金を受け取っても、それ以上に株価が下落すれば、資産全体では損失になる可能性があります。
NISA成長投資枠と高配当株の関係
NISAの成長投資枠では、対象となる国内株式、海外株式、ETF、投資信託などを購入できます。
2026年時点の年間投資枠は、次のとおりです。
| 区分 | 年間投資枠 |
|---|---|
| つみたて投資枠 | 120万円 |
| 成長投資枠 | 240万円 |
| 合計 | 360万円 |
NISA全体の非課税保有限度額は1,800万円で、そのうち成長投資枠で利用できるのは最大1,200万円です。
成長投資枠で購入した株式の売却益や配当金は、一定の条件を満たすと非課税になります。
通常、国内上場株式の売却益や配当には、原則として20.315%の税金がかかります。NISAを利用すれば、この税負担を抑えられることが大きな特徴です。
配当金を非課税で受け取るには設定が必要
NISAの成長投資枠で国内株式を保有していても、配当金の受取方法によっては課税される場合があります。
国内上場株式の配当金をNISAで非課税にするには、配当金の受取方法を「株式数比例配分方式」に設定する必要があります。
株式数比例配分方式とは、配当金を保有している証券会社の口座で受け取る方法です。
銀行口座で受け取る「登録配当金受領口座方式」や、配当金領収証を使って受け取る方法では、NISAで保有していても配当金が課税される可能性があります。
高配当株を購入する前に、利用している証券会社の配当金受取方法を確認しておきましょう。
NISAで高配当株を保有するメリット
配当金への課税を抑えられる
仮に100万円を配当利回り4%の株式へ投資し、年間4万円の配当を受け取ったとします。
| 口座 | 税引き前配当 | 税額の目安 | 受取額の目安 |
|---|---|---|---|
| 課税口座 | 40,000円 | 8,126円 | 31,874円 |
| NISA口座 | 40,000円 | 0円 | 40,000円 |
※配当利回り4%が継続することを保証する例ではありません。手数料や株価変動なども考慮していません。
配当を継続して受け取る場合、非課税による差は少しずつ大きくなります。
売却益も非課税になる
購入後に株価が上昇し、売却益が出た場合も、NISA口座内の利益は非課税です。
ただし、値上がり益が出るとは限りません。高配当株でも、業績や市場環境によって株価が下落する可能性があります。
配当を再投資できる
受け取った配当金を使って、株式や投資信託を追加購入する方法もあります。
配当を再投資すると、保有資産を少しずつ増やせます。ただし、配当金で商品を買い直す場合は、その年のNISA年間投資枠を使用します。
定期的な収入を実感しやすい
配当金が入金されることで、資産形成の成果を実感しやすくなる点も高配当株の特徴です。
ただし、配当金の支払いは保証されていません。企業の業績や配当方針によって、減配や無配になる可能性があります。
高配当株投資のデメリットと注意点
減配や無配になる可能性がある
企業は利益や財務状況などをもとに配当額を決定します。
業績が悪化した場合、前年まで配当を出していた企業でも、配当を減らしたり停止したりすることがあります。
現在の配当額だけではなく、過去の配当推移や会社の株主還元方針も確認することが大切です。
株価下落で配当以上の損失が出ることがある
年間4万円の配当を受け取っても、株価が10万円下落すれば、資産全体ではマイナスです。
高い配当利回りだけを見て購入せず、業績や財務状況、株価水準も確認する必要があります。
特定の業種に偏りやすい
高配当株には、銀行、通信、エネルギー、商社などの銘柄が多く見られます。
配当利回りだけで選ぶと、保有銘柄が特定の業種に集中する可能性があります。複数の業種に分散することや、インデックス投資と組み合わせることも検討しましょう。
NISA口座の損失は損益通算できない
NISA口座で発生した損失は、税務上はなかったものとして扱われます。
そのため、特定口座や一般口座で得た利益との損益通算や、損失の繰越控除はできません。
非課税というメリットだけでなく、損失を税務上利用できない点にも注意が必要です。
高配当株を選ぶときの7つの確認項目
1.配当利回りだけで判断しない
配当利回りが高くなっている理由を確認します。
株価の急落によって利回りが上昇している場合は、業績悪化や減配の懸念が株価に反映されている可能性があります。
2.過去の配当推移を確認する
企業の公式IRサイトで、過去に増配・維持・減配のどれが多かったかを確認します。
一度も減配していないことだけで判断せず、減配した時期と理由も確認しましょう。
3.配当方針を確認する
企業によって、配当性向、累進配当、DOEなど、株主還元の基準が異なります。
配当性向は、利益のうちどの程度を配当へ回しているかを示す指標です。ただし、適切な水準は業種や成長段階によって異なるため、同業他社と比較して判断します。
4.売上・利益・キャッシュフローを確認する
配当は、企業が事業で得た利益や現金を原資として支払います。
売上や利益だけでなく、営業キャッシュフローやフリーキャッシュフローも確認すると、配当を継続できる余力を判断しやすくなります。
5.財務状況を確認する
借入金が過度に増えていないか、自己資本が十分にあるかなどを確認します。
金融機関と事業会社では財務指標の見方が異なるため、単純な数値だけで判断せず、同じ業種の企業と比較することが重要です。
6.事業内容と将来性を確認する
配当実績が良くても、主力事業が長期的に縮小している場合は注意が必要です。
企業がどの事業で利益を出しているか、今後どの分野へ投資する予定なのかを確認します。
7.1銘柄へ集中しすぎない
どれだけ調べても、将来の業績や株価を正確に予測することはできません。
複数銘柄や複数業種へ分散し、1社の減配や株価下落が資産全体へ与える影響を抑えることが大切です。
高配当株として確認されることが多い日本株の例
以下は、高配当株を調べる際の確認例です。特定銘柄の購入を推奨するものではありません。
配当額や配当利回りは、業績、会社方針、株価によって変わります。購入を検討する場合は、必ず各社の最新決算と公式IR情報を確認してください。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)
国内の大手金融グループです。公式IRサイトでは、過去の配当実績と今後の配当予想を確認できます。
銀行株は金利環境の影響を受ける一方、景気悪化時の信用コストや貸倒れにも注意が必要です。
三井住友フィナンシャルグループ(8316)
配当を基本とする株主還元を掲げ、累進的配当方針と配当性向40%を方針として示しています。
ただし、金融市場、金利、景気、信用コストなどによって業績が変動する可能性があります。
日本たばこ産業・JT(2914)
JTは、配当性向75%を目安として、一定の範囲内で判断する株主還元方針を公表しています。
一方で、たばこ規制、為替変動、海外事業などの影響を受ける可能性があります。また、株主優待制度は2023年発送分をもって廃止されています。
ENEOSホールディングス(5020)
ENEOSホールディングスは、業績に応じた累進配当と、配当・自己株式取得を組み合わせた株主還元方針を公表しています。
ただし、原油価格、精製マージン、為替、エネルギー需要などの影響を受ける点には注意が必要です。
KDDI(9433)
KDDIは、配当性向40%超と持続的な増配を目指す方針を公表しています。
通信事業は継続的な需要が期待できる一方、競争環境、料金政策、設備投資、新規事業の成否などによって業績が変動する可能性があります。
40代から高配当株を活用する考え方
40代は、老後資金を準備しながら、教育費や住宅費などの支出にも対応する時期です。
配当金が魅力的に見えても、生活費や近い将来に使う予定のお金まで投資へ回すべきではありません。
私の場合は、次の順番を基本にしています。
- 生活防衛資金を確保する
- つみたて投資枠でインデックス投資を続ける
- 余裕資金の範囲で成長投資枠を利用する
- 株主優待や配当、企業の業績を確認して個別株を選ぶ
- 1銘柄へ資金を集中させない
高配当株を資産形成の中心にする必要はありません。
インデックス投資を土台にしながら、配当を受け取る楽しみや、応援したい企業への投資として一部を組み合わせる方法もあります。
配当金は使うか、再投資するか
受け取った配当金の使い方に、ひとつの正解はありません。
資産形成を優先するなら再投資、家計への還元を実感したいなら生活費や家族の楽しみに使う方法があります。
私は、家計やNISAの積立状況を確認しながら、その時点で必要な使い方を選ぶのが現実的だと考えています。
無理にすべて再投資するのではなく、自分の投資目的に合わせて決めることが大切です。
よくある質問
高配当株は、つみたて投資枠で購入できますか?
国内の個別株は、つみたて投資枠では購入できません。NISAで国内個別株を購入する場合は、成長投資枠を利用します。
NISAなら配当金は必ず非課税になりますか?
国内上場株式の配当金を非課税で受け取るには、「株式数比例配分方式」に設定する必要があります。
配当金の受取方法は、利用している証券会社で確認してください。
配当利回りは何%なら安全ですか?
安全と判断できる一律の基準はありません。
配当利回りだけではなく、配当方針、配当性向、業績、キャッシュフロー、財務状況などを総合的に確認する必要があります。
NISAで損失が出た場合、損益通算できますか?
NISA口座の損失は、特定口座や一般口座の利益と損益通算できません。損失の繰越控除も利用できません。
成長投資枠は年間240万円まで使い切るべきですか?
必ず使い切る必要はありません。
生活防衛資金や今後必要になる資金を確保したうえで、余裕資金の範囲内で利用することが大切です。
まとめ
NISAの成長投資枠で高配当株を保有すると、一定の条件を満たした配当金や売却益を非課税にできます。
一方で、高配当株には次のようなリスクがあります。
- 減配や無配になる
- 株価が下落する
- 高配当銘柄が特定業種へ偏る
- NISA口座の損失を損益通算できない
- 配当利回りや会社の配当方針が変わる
高い配当利回りだけで判断せず、業績、財務状況、配当方針、将来性を確認することが重要です。
40代からの資産形成では、生活防衛資金とインデックス投資を土台にし、余裕資金の範囲で高配当株を組み合わせる方法が現実的です。
NISA全体の仕組みや始め方については、次の記事で詳しく解説しています。
【完全ガイド】40代から始める資産形成|NISAの基礎・始め方・楽天経済圏の活用法
ETFを含めて成長投資枠の商品を比較したい方は、こちらも参考にしてください。
【2026年版】新NISA成長投資枠でおすすめのETFタイプは?選び方と投資信託との違い
参考資料
- 金融庁「NISAを知る」
- 金融庁「NISAを利用する皆さまへ」
- 国税庁「株式等を譲渡したときの課税」
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ「配当情報」
- 三井住友フィナンシャルグループ「株主還元方針・配当情報」
- JT「株主還元方針・配当」
- ENEOSホールディングス「株主還元」
- KDDI「配当情報」
免責事項
本記事は、筆者の経験や調査に基づく一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品や銘柄の購入・売却を推奨するものではありません。
株式投資には、株価下落、減配、無配、為替変動などにより損失が生じるリスクがあります。配当金や株主優待、税制、NISA制度の内容は、企業の方針や法令改正などによって変更される場合があります。
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