はじめに
新NISAの成長投資枠では、個別株や投資信託だけでなく、ETF(上場投資信託)も購入できます。
ETFについて調べていると、
- 投資信託と何が違うの?
- S&P500や全世界株式に連動するETFなら初心者でも大丈夫?
- 分配金がもらえるETFの方がお得?
- 成長投資枠ではETFと投資信託のどちらを選べばいい?
と迷う方も多いのではないでしょうか。
私自身も40代から資産形成を始めた投資初心者です。
現在は楽天証券のNISAで、つみたて投資枠を月10万円利用し、楽天キャッシュ5万円と楽天カード5万円で投資信託を積み立てています。
成長投資枠を追加で活用するにあたり、ETFと投資信託の違いや、ETFを選ぶときに確認すべきポイントをあらためて調べました。
この記事では、特定のETFを強く推奨するのではなく、初心者が成長投資枠でETFを検討するときの考え方を整理します。
NISA制度全体の仕組みから確認したい方は、先に40代から始めるNISAの完全ガイドをご覧ください。
先に結論|初心者は広く分散されたETFから検討する
成長投資枠で初めてETFを購入する場合は、次の条件を満たすタイプから検討するのが基本です。
- 幅広い銘柄に分散されている
- 運用コストが低い
- 売買が活発で流動性がある
- 純資産総額が極端に小さくない
- 自分がすでに持っている投資信託と重なりすぎていない
- 長期間保有できる内容である
具体的には、全世界株式、米国株式、日本株全体などの幅広い指数に連動するETFが比較しやすい候補になります。
一方で、次のようなETFは値動きや仕組みが複雑になりやすいため、初心者が最初の1本として選ぶ場合は注意が必要です。
- レバレッジ型・インバース型
- 特定の業種だけに投資するテーマ型
- 出来高が極端に少ないETF
- 分配金利回りだけが高く見えるETF
- 内容を理解できない海外ETF
また、成長投資枠だからといって、必ずETFや個別株を買う必要はありません。
成長投資枠でも投資信託を購入できるため、投資信託の積立を継続する方法も選択肢です。
新NISAの成長投資枠とは
2024年から始まったNISAには、つみたて投資枠と成長投資枠があります。
成長投資枠の主な内容は次のとおりです。
- 年間投資上限額:240万円
- 成長投資枠の非課税保有限度額:1,200万円
- NISA全体の非課税保有限度額:1,800万円
- 非課税保有期間:無期限
- つみたて投資枠との併用:可能
NISA口座で購入した対象商品の売却益や配当・分配金は、一定の条件を満たした場合に非課税になります。
商品を売却した場合は、売却した商品の取得金額に相当する非課税保有限度額が翌年以降に再利用できます。ただし、売却した年の年間投資枠がその年中に復活するわけではありません。
制度の詳細は金融庁「NISAを知る」で確認できます。
つみたて投資枠との使い分けについては、新NISAのつみたて投資枠と成長投資枠の違いにもまとめています。
ETFとは?
ETFは「Exchange Traded Fund」の略で、日本語では上場投資信託と呼ばれます。
投資信託の一種ですが、証券取引所に上場しているため、株式と同じように市場が開いている時間帯に売買できます。
たとえば、TOPIXやS&P500などの指数に連動するETFを1本購入することで、指数を構成する複数の企業へまとめて投資できます。
ETFには、次のような種類があります。
- 日本株に投資するETF
- 米国株に投資するETF
- 全世界株式に投資するETF
- 高配当株に投資するETF
- REITに投資するETF
- 債券や金などに投資するETF
ただし、すべてのETFがNISA成長投資枠の対象になるとは限りません。
購入前に、利用している証券会社の注文画面や対象商品一覧で「NISA成長投資枠の対象商品」であることを確認しましょう。
ETFと投資信託の違い
ETFと一般的な投資信託は、どちらも複数の銘柄へ分散投資できる商品です。
主な違いをまとめると、次のようになります。
| 比較項目 | ETF | 一般的な投資信託 |
|---|---|---|
| 取引価格 | 市場価格 | 1日1回算出される基準価額 |
| 取引時間 | 市場が開いている時間 | 証券会社の受付時間内に注文 |
| 注文方法 | 指値・成行注文など | 金額指定・口数指定など |
| 積立 | 証券会社や商品による | 自動積立に対応する商品が多い |
| 分配金 | 現金で受け取るのが基本 | 受取型・再投資型などがある |
| 運用コスト | 商品ごとに異なる | 商品ごとに異なる |
| 売買コスト | 手数料やスプレッドなど | 購入時手数料が無料の商品も多い |
「ETFの方が必ず低コスト」とは限りません。
近年は低コストなインデックス型投資信託も増えているため、ETFの信託報酬や経費率だけでなく、売買手数料、為替手数料、スプレッドなどを含めて比較する必要があります。
投資信託の選び方については、信託報酬や純資産総額を使った投資信託の選び方も参考にしてください。
ETFのメリット
1本で分散投資できる
幅広い指数に連動するETFであれば、1本購入するだけで複数の企業へ分散できます。
個別株だけで十分な分散を行うには、多くの銘柄を購入する必要があります。
ETFなら、比較的少ない手間で国内外の株式へ分散できるのがメリットです。
ただし、ETFであれば何でも十分に分散されているわけではありません。
特定業種や特定テーマに集中するETFは、組入銘柄数が多くても値動きが似た企業へ偏っている場合があります。
株式と同じように売買できる
ETFは、市場が開いている時間帯に価格を確認しながら売買できます。
指値注文を使えば、希望する価格を指定して注文することも可能です。
ただし、リアルタイムで売買できることが、必ずしも長期投資の成果につながるわけではありません。
価格を頻繁に確認することで売買回数が増えてしまう人には、自動積立できる投資信託の方が続けやすい場合もあります。
分配金を受け取れる
ETFでは、運用で得た配当などを分配金として受け取れる商品があります。
定期的に現金を受け取りたい人にとっては、分配金が目に見える点がメリットです。
一方、分配金が支払われると、その分だけETF内部の資産が減少します。
分配金が多いから必ず運用成績が良いとは限らないため、分配金利回りだけで判断しないことが大切です。
組入銘柄を確認しやすい
ETFは、運用会社の公式サイトなどで組入銘柄や構成比率が公開されています。
自分が何に投資しているのかを確認しやすいため、保有中の投資信託や個別株との重複も調べられます。
ETFのデメリットと注意点
分配金が自動で再投資されないことが多い
ETFの分配金は、現金で受け取るのが基本です。
分配金を再投資したい場合は、自分でETFなどを買い直す必要があります。
再投資する金額がETFの最低購入金額に届かなければ、すぐには再投資できません。
長期的に資産を増やすことを優先し、分配金の管理に手間をかけたくない場合は、分配金をファンド内で再投資するタイプの投資信託の方が扱いやすいことがあります。
市場価格と基準価額がずれる場合がある
ETFには、ETFが保有する資産から算出される基準価額と、証券取引所で実際に売買される市場価格があります。
市場の需給や取引状況によっては、市場価格が基準価額より高くなったり、低くなったりする場合があります。
日本取引所グループも、指数、基準価額、市場価格の値動きが一致しない場合があると説明しています。
詳しくは日本取引所グループ「ETFの投資リスク」をご確認ください。
流動性が低いETFは売買しにくい
売買が少ないETFでは、買いたい価格と売りたい価格の差であるスプレッドが広がる場合があります。
出来高が少ない商品を成行注文で購入すると、想定より高い価格で約定する可能性もあります。
購入前に、次の項目を確認しておきましょう。
- 売買代金
- 出来高
- 買い気配と売り気配
- スプレッド
- 純資産総額
海外資産には為替変動リスクがある
米国株や全世界株式など、海外資産へ投資するETFは為替変動の影響を受けます。
投資先の株価が上昇しても、円高が進むと円換算した評価額が下がることがあります。
反対に、円安が進めば円換算した評価額が押し上げられる場合があります。
「円で購入できる国内上場ETFだから為替の影響がない」とは限らない点に注意が必要です。
NISAの損失は損益通算できない
NISA口座でETFを売却して損失が発生しても、特定口座や一般口座の売却益・配当などと損益通算できません。
損失の繰越控除も利用できないため、非課税というメリットだけでなく、損失が出た場合の扱いも理解しておく必要があります。
税制については国税庁「NISA制度」をご確認ください。
成長投資枠で検討しやすいETFのタイプ
全世界株式型ETF
全世界株式型ETFは、日本、米国、欧州、新興国など、世界の株式へ幅広く投資するタイプです。
1本で地域を分散しやすいため、「どの国が今後成長するかを自分で決めるのが難しい」という人にとって比較しやすい選択肢です。
ただし、全世界株式型でも米国株の構成比率が高い商品があります。
「全世界」という名前だけで判断せず、国別構成比率や連動する指数を確認しましょう。
米国株式型ETF
米国株式型ETFには、S&P500や米国株式市場全体などに連動する商品があります。
米国の幅広い企業へ分散できる一方で、投資先は米国に集中します。
すでにS&P500などに連動する投資信託を保有している場合、ETFを追加しても投資先の多くが重複する可能性があります。
S&P500と全世界株式の違いについては、S&P500とオールカントリーの違いで詳しく整理しています。
日本株型ETF
日本株型ETFには、TOPIXや日経平均株価などに連動する商品があります。
TOPIX連動型は、日本の株式市場を幅広くカバーするタイプです。
日経平均連動型は、構成する225銘柄の株価から算出される指数への連動を目指します。
海外株式中心の投資信託を持っている人が、日本株の比率を加える目的で検討する方法もあります。
ただし、日本で働き、日本円で給与を受け取り、日本の不動産や年金制度に依存している場合、生活全体ではすでに日本への集中度が高い可能性もあります。
資産全体を見て判断することが大切です。
高配当株型ETF
高配当株型ETFは、配当利回りが比較的高い企業へまとめて投資するタイプです。
個別の高配当株を複数選ぶより、ETFを通じて分散しやすい点がメリットです。
一方で、次の点には注意が必要です。
- 特定の業種へ偏ることがある
- 分配金が将来も維持されるとは限らない
- 値上がり益を含む総合的な運用成果が低くなる場合がある
- 分配金を受け取るたびに再投資の手間がかかる
「分配金が多い=長期投資に最適」とは限りません。
分配金だけでなく、値上がり益を含むトータルリターンや、構成銘柄、コストも確認しましょう。
NASDAQ100・テーマ型ETF
NASDAQ100や特定テーマに連動するETFは、成長性が期待される企業や業種へ集中して投資できます。
その一方で、幅広い市場へ投資するETFより値動きが大きくなりやすく、特定の企業・業種に偏る可能性があります。
初心者が利用する場合は、資産形成の中心ではなく、全体の一部にとどめる考え方があります。
流行や過去の上昇率だけで選ばず、どの企業にどれくらい投資しているのかを確認することが重要です。
ETF選びで確認したい7つのポイント
連動する指数
最初に確認したいのは、ETFがどの指数への連動を目指しているかです。
同じ「米国株ETF」でも、S&P500、NASDAQ100、米国株式市場全体では、投資対象や値動きが異なります。
信託報酬・経費率
信託報酬や経費率は、ETFを保有している間に継続して負担するコストです。
わずかな差でも、長期間保有すると運用成果へ影響します。
ただし、コストの低さだけでなく、分散範囲、純資産総額、流動性なども含めて比較しましょう。
純資産総額
純資産総額は、そのETFに集まっている資産の規模です。
純資産総額が小さいから直ちに問題とは限りませんが、規模が縮小し続けている商品や、繰上償還の可能性がある商品には注意が必要です。
流動性とスプレッド
日々の出来高や売買代金が一定程度あり、買い気配と売り気配の差が大きすぎないか確認します。
長期保有を予定していても、購入時と売却時の価格に影響するため、流動性は無視できません。
分配方針
分配金の支払回数、過去の分配実績、分配金の原資などを確認します。
分配金は保証されておらず、運用状況によって減少したり、支払われなかったりする場合があります。
為替と税金
海外資産へ投資するETFでは、為替変動や外国での課税を確認します。
米国上場ETFなどの分配金は、NISA口座で保有していても米国での源泉徴収が原則として残ります。
楽天証券では、米国株式の配当は原則として米国で10%源泉徴収され、NISA口座で国内課税が非課税になった配当については外国税額控除を利用できないと案内しています。
詳しくは楽天証券「外国税額控除」をご確認ください。
保有商品との重複
すでに投資信託を積み立てている場合は、新しく購入するETFとの重複を確認します。
たとえば、S&P500に連動する投資信託を持ちながら、S&P500連動ETFを追加すると、商品名は違っても投資先はほぼ同じです。
重複そのものが悪いわけではありません。
ただし、「分散するためにETFを追加したつもりが、実際には同じ企業への投資額を増やしていた」という状態にならないようにしましょう。
楽天証券のNISAでETFを買うときの注意点
楽天証券では、NISA口座内の国内株式、国内ETF、米国株式、米国ETFなどについて取引手数料無料の対象が案内されています。
ただし、商品によって為替手数料、スプレッド、現地取引所に関する費用などが発生する可能性があります。
詳しい条件は楽天証券「NISAの取引手数料」で最新情報を確認してください。
国内上場ETFの分配金をNISAで非課税にするには、配当金・分配金の受取方法を「株式数比例配分方式」に設定する必要があります。
受取方法が銀行口座での受け取りなどになっていると、NISA口座で保有していても課税される場合があるため、購入前に設定を確認しておきましょう。
楽天証券で投資信託を積み立てる方法については、NISA成長投資枠で積立する方法にまとめています。
私が成長投資枠でETFを急いで買わない理由
私の場合、つみたて投資枠を月10万円利用しており、楽天キャッシュ5万円と楽天カード5万円で投資信託を積み立てています。
そのため、成長投資枠でETFを追加する前に、現在の投資信託との重複を確認する必要があります。
ETFには、リアルタイムで売買できることや、分配金を受け取れることなどの魅力があります。
しかし、私が資産形成で重視しているのは、次の点です。
- 家計に無理のない金額で続ける
- 長期・積立・分散を基本にする
- 手間を増やしすぎない
- 内容を理解できる商品だけを買う
- 値動きがあっても継続できる範囲にする
成長投資枠が余っているからといって、急いで埋める必要はありません。
投資信託の積立を増やすのか、幅広い指数に連動するETFを購入するのか、分配金を目的に高配当ETFを一部取り入れるのかを比較してから判断したいと考えています。
私が40代から新NISAを始めた経緯については、40代から新NISAを始めた理由と選んだ投資信託をご覧ください。
ETFが向いている人・投資信託が向いている人
ETFが向いている可能性があるのは、次のような人です。
- 市場価格を見ながら自分で注文したい
- 指値注文を利用したい
- 分配金を定期的に受け取りたい
- 国内外の幅広いETFから選びたい
- 自分で再投資や資産配分を管理できる
一方、投資信託が向いている可能性があるのは、次のような人です。
- 毎月自動で積み立てたい
- 少額から金額指定で購入したい
- 分配金の再投資を自動化したい
- 売買のタイミングに悩みたくない
- 資産形成にかける手間を減らしたい
どちらが優れているかではなく、自分が長く続けやすい方を選ぶことが大切です。
成長投資枠の商品選びで迷っている方は、成長投資枠で失敗しないための投資商品選びも参考にしてください。
よくある質問
成長投資枠はETFで埋めた方がよいですか?
必ずしもETFで埋める必要はありません。
成長投資枠では、対象となる投資信託、ETF、個別株などを購入できます。
現在の資産配分、投資経験、使う予定のない余裕資金、管理にかけられる時間を考えて選びましょう。
年間240万円の枠を無理に使い切る必要もありません。
ETFと投資信託を両方持っても大丈夫ですか?
両方保有すること自体に問題はありません。
ただし、同じ指数に連動する商品を複数持つと、投資先が重複する場合があります。
商品数を増やす前に、現在保有している商品の投資対象や構成銘柄を確認しましょう。
分配金が多いETFほどお得ですか?
分配金の多さだけでは判断できません。
分配金が支払われると、その分だけETFの資産が減少します。
値上がり益と分配金を合わせたトータルリターン、コスト、構成銘柄、減配リスクなどを確認する必要があります。
海外ETFと国内ETFはどちらがよいですか?
一概には決められません。
海外ETFには商品数の多さや低コストの商品がある一方、為替、外国税、取引時間、外貨決済などを確認する必要があります。
国内上場ETFは円で売買しやすい一方、海外資産に投資する商品であれば為替変動の影響を受けます。
自分が理解しやすく、管理しやすい方を選びましょう。
ETFは長期保有すれば必ず利益が出ますか?
必ず利益が出るわけではありません。
幅広く分散されたETFでも、市場全体の下落、為替変動、金利変動などによって価格が下がる可能性があります。
長期投資は短期的な値動きの影響をならす効果が期待できますが、元本や利益が保証されるものではありません。
まとめ
新NISAの成長投資枠では、ETFを使って国内外の株式へ分散投資できます。
初心者がETFを選ぶときは、次のポイントを確認することが大切です。
- 連動する指数と投資対象
- 信託報酬や経費率
- 純資産総額
- 出来高とスプレッド
- 分配方針
- 為替と税金
- 保有中の投資信託との重複
- NISA成長投資枠の対象商品か
ETFには、リアルタイムで売買できることや、分配金を受け取れることなどのメリットがあります。
一方で、自動積立や分配金の再投資という点では、投資信託の方が管理しやすい場合もあります。
成長投資枠だからETFを買う、分配金が高いから選ぶという考え方ではなく、自分の目的と現在の資産配分に合っているかを確認しましょう。
私自身も、つみたて投資枠での積立を続けながら、成長投資枠については無理に急がず、家計と保有商品のバランスを見ながら活用していく予定です。
参考資料
- 金融庁「NISAを知る」
- 金融庁「NISAを利用する皆さまへ」
- 国税庁「NISA制度」
- 日本取引所グループ「ETFの投資リスク」
- 日本取引所グループ「ETF銘柄一覧」
- 楽天証券「NISAの取引手数料」
- 楽天証券「配当金の受取方法」
- 楽天証券「外国税額控除」
免責事項
この記事は、2026年8月時点の制度・公開情報と、筆者個人の経験に基づいて作成しています。
掲載内容は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品への投資を勧誘・推奨するものではありません。
投資には元本割れを含むリスクがあります。商品内容、手数料、NISA対象商品、税制などは変更される場合があるため、購入前に金融庁、税務署、証券会社、運用会社などの公式情報をご確認ください。
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